<   2010年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧

イギリスの小さな庭

e0144237_155515.jpg
「イギリスはガーデニングがさかん」と初めて聞いたときは「庭ってどこ?」って思ってビックリした。 イギリスは左右が隣とつながったテラスハウスが多くて、たいていのテラスハウスには、猫の額ていどの庭しかない。 私が当時住んでいた家も近所の学生用下宿(シェアハウスという方が近い)も 同じようなテラスハウスで、ゴミが放置された小さなスペースを誰も手入れしてなかった。

Vの実家もテラスハウスで庭と呼べるスペースはごくわずか。でもそのわずかなスペースに、夏は木が青々とし、ラベンダーやマーガレットなど色とりどりの花が咲き、鳥の巣箱がかわいらしく花畑の中に収まっている。

「誰が世話してるの?」と聞いたら、「うちの庭じゃないよ」だって。
「ここの庭のように見えるけど」と言ったら、隣の庭との境には塀も何もないので、木の葉も花も境界から脇へ顔を覗かせて、ごくわずかなスペースに堂々とはみ出しているためそう見えるのだそう。 隣の男性が、庭いじりが好きらしい。

Vのお姉さんのバーサのだんなさんのサムはVの親戚で唯一、ガーデニング愛好家。ちょっと郊外で、一軒を2世帯で住むタイプの家の庭は、びっくりするほど広いわけではないにしても、1人で世話してるならそれは大変だろうと想像つく。

よいガーデナーのことを、「緑の指を持っている」と英語で言うと日本の雑誌に書いてあって、バーサに「彼は緑の指を持ってる?」と聞いた。
「そうねえ!持ってるかもしれないわねえ!」

バーサは冬雪が珍しいほど積もると、クリスマスカードの絵のような写真を撮って送ってくる。サムは繁殖しすぎて庭を荒らすリスには罠を仕掛け、鳥には巣箱を設けそういうことがバーサや近所の人と自然に話題になっている。

春夏は色とりどりの花が咲くのをサムは、"Beautiful,are't they?"(きれいだろ?)の一言でいつも表現する。言葉の抑揚だけにその時々の気持ちを込めているみたいに。

サムは細長く傾斜する庭の一番低いところにある川岸にデッキとガラスのサマーハウスを設けて、天気の良い日はサマーハウスでバーサとお茶を飲みながら新聞を読む。天気が荒れるとメンテナンスを心配している。

もっと天気の良い日は、ガレージから椅子とテーブルを出してきて、庭で食事する。 彼が庭でハーブなど「スーパーで買うと高い」という食材を育てたのをバーサが料理し食べる。

「庭作りの何が好きなの?」と彼に聞いたら「自分の作品みたいなもんで、どうにでもいじれることかな」

ふーん。彼にとっての庭は、面倒でも楽しい、バーサにとっての料理みたいなものかも。
[PR]
by nanaoyoshino | 2010-09-23 01:55 | 世界の庭とごはん

野生のトラを探して

e0144237_2043520.jpg
以前書いた記事の、写真をいくつかアップしたので興味ある方はごらんください。

橋を探していろんな人に聞いたりグーグルマップで探すあいだ、VもVの家族もいったいなんでそんな橋が問題なのかと思っていたと思う。

私はとくに旅のあいだ、他人が見たら何がおもしろいのかわからないようなものでも、求めて探すのが好き。探しているうちにいろんな人やものに出会ったり、一歩一歩探しているものに近づいて行く感じも、おおげさに言えばそれが人生そのもののように思えたりする。

橋のことを書いていたら、マレーシアで野生の象や虎がいるという森に泊まったことを思い出した。

何年か前マレーシアに一人で行ったことがある。以前友達になったネパール人が森林省に勤めていて、管理している森の野生のトラやゾウの話をしていた。森に泊まりゾウの背中で移動し野生のトラを保護するとか、そんな話。

やはり野生のゾウやトラがいると聞く、マレーシアの森に行ってみたくなった。

先住民が住むと言われる原生林の中を数キロ歩いているあいだ、人間には1人も会わなかったけれど、動物にもただ草むらをかけぬけて走る何かイノシシのような影を見ただけ。

事前に地図を買って、ジャングルの中にある小屋に向かって歩きながら、このままもし小屋にたどりつけないまま道に迷ったら、と歩きながらずっと不安で怖くもあった。

行ってみるまでじっさい山小屋がどんなふうだかぜんぜんわからなかったのだけれど、3階建てくらいの高床に一部屋しかない小屋。

木の梯子で上り、壁は一部しかなくあとは屋根だけ。水やトイレも小屋からいったん降りた外にしかなかった。

無事山小屋に着いたときは、それだけでも自分でも驚きだった上に、自分と同じ目的でそんな森の中に、2人ほかの旅行者が私が到着後すぐ来たのにも驚いた。

もともと曇っていた空はすぐ暗くなり、夜もふけるとどしゃぶりの雨になり月明かりもなく、視界はほとんど絶望的。薄暗く夜が明けてきても雨足は変わらなかった。

旅行者は、台湾から来た人で、ぼそぼそとたまに片言の英語で話すくらい。そのうち1人と私は外が明るくなるまで、じっと野生動物の面影を探し、眠い目をこすって起きていた。

2人で何時間も外を眺めていても、「何か見えた?」「ぜんぜん」とたまに言葉を交わし、ただ豪雨がバラック屋根をたたきうける音を聞いていただけ。

夜がすっかり明けると同時に雨も小降りになってきて、3人で朝、小屋を出発するころには止んでいた。濡れてところどころ、道が小川になっている森の中を、1人ではなく彼らと歩けたので迷いにくかったし、楽しかった。

結局何野生動物には出会わなかったけど、たとえ探していたものが見つからなかくても、あのとき、彼らと私で期待に胸ふくらませたその時間は、確かに存在したのだ。
[PR]
by nanaoyoshino | 2010-09-10 20:03 | hundreds of days off

ハリーはクールな猫

e0144237_18572242.jpg
ハリーは、トレーシー(Vの下のお姉さん)のかわいがってる猫。緑っぽい目に縞模様の毛の猫。

ハリーがお姉さんちに来たときは、すでに大人の猫だったらしい。前の持ち主が太らせたので今の2倍くらい太ってたと聞く。

今は結構大きな猫ではあるけど、中肉中背といったところ。トレーシーがもともと自分たちのダイニングルームに作ったコンサーバトリー(ガラスのサンルーム)が、ちょうど裏庭に通じていてドアもあるので、今ではハリーのベッドルーム兼ダイニングルームとなってしまった。

ハリーはこの裏口から朝、散歩に出かけて、夜日が暮れる頃、下のお姉さん夫婦が職場から帰ってくる時間に戻って来て家の中に入れてもらう。

夫婦がTVをみながらくつろいでいる居間にハリーもいっしょに、革張りのソファに自分の場所を確保してくつろいだり、お姉さんのだんなさんにじゃれて遊んでもらったりしている。

Vは猫の毛アレルギーがあるので、なるべくハリーに近寄らないようにしているのだけど、ハリーは遊んでもらいたいのか、Vが来るとVの後を追って足下をうろついている。

Vはしっ、しっとか「あっち行け!」とかいつも言ってるのに、まるで通じない。それでトレーシーやだんなさんがハリーと遊んであげたり、スナックをあげたりして気をそらせない限り、Vは家の中をハリーを避けてうろうろし、ハリーは遊んでもらってると勘違いしてるのか、しらっとした顔でVの後をついて行く。

お姉さん夫婦が職場に行き、ハリーが外に出された後も庭の大きなゴミ箱の上に寝そべって、窓の外からVと同じ目の高さでVを見ている。そのくせ、Vが見返すと目をそらすなどよそよそしい。Vは「クールな猫だなあ」などと変に感心している。

とはいえVはたとえガラスの向こうからであっても、猫が視界にあるだけで、精神的不安にかられるもよう。

朝、Vが私と居間のテーブルで、シリアルとトーストを食べているとき、視界をすーっと横切るものがあった。
「あれは、、、」と私が言いかけると、Vがうんざりしたような顔で私を見返す。
「ハリー!」
ハリーが正面の庭の、塀の上をゆったりと散歩していたのだ。

ハリーは塀のそばの木の下に置かれた陶器の犬にしなだれかかって、昼寝する。 (ハリーの写真)遠目には犬と猫が親しくしてるように見えるのだけど、ちょうど午後になると犬のところに日差しがあたって暖かくぽかぽかだからみたい。

私とVが庭のテーブルでお茶を飲んでいるときは、塀へのはしごの役割をしている木の枝から、私とVを大きな顔だけ出して見下ろす。

「不思議の国のアリス」に出てくるチュシャ猫そっくり、と言うとVは、
チュシャ猫の顔は、笑ってるんだよ、と反対する。
[PR]
by nanaoyoshino | 2010-09-04 01:41 | 世界の庭とごはん