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金ぴか食堂は、連夜の行列

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「すごおく広くて人が大勢いるの。とっても安くって」
とJが言うのを聞いて、
子供の頃親に連れて行かれたデパートの最上階、ファミリー向けレストラン
を思い出した。

・・・きっと料理も安いなりの、とんでもない味だろう。イギリス人が気に入ってるくらいだし。

JはVの下のお姉さん。お役所に勤めているが、かなりエライ人らしい。海のそばの大きな家に住んでいる。そこではカモメの鳴く声が、まるで子供が泣いてるみたいに、一日中止まない
Jは、Vのもうひとりのお姉さんと、Vのお父さん、Jのパートナーと4人でパリに行った時のことを話していたのだ。

繰り返し語られるパリ旅行のたのしい思い出。
家族の中で、日本にいるVだけが行かなかった。

パリって言えば、いやフランス人って言えば、紋切り型だけど、
ラ・ヴィ・・・・あ、フランス語が思い出せない。

とにかく人生=アート

と考え、食や愛、文化を人生に求め、人生を豊かに生きる人びとでは?

人生=苦悩 食=ただの生理作用のひとつ

と考えるイギリス人(初めて聞いたときは冗談かと思いましたよ)
からは憧れの、文化的イメージがある。

今年の夏どこに行きたいの?とVに聞くと

パリに行こう。エッフェル塔!
(心理的にすごく引いて)なんでエッフェル塔に行きたいの?
とにかく行きたいんだ。あとノートルダム寺院、ルーブル。

今回は私の誕生日。Vのおごりということに収まった。
だから誕生日だけど口出ししないことにし、余計な争いを避ける戦略をとった。

ただし、行ってからいざ、おなかが減ったら、
こればっかりはおまかせしてはならなかった、と突然後悔する。

食については、日本人の私にとっては、食はアートまではいかなくとも、
たんなる生理作用や消化吸収過程なんかじゃない。
一日のうちのもっとも大切な、味や会話や雰囲気を楽しむ時間、
ましてや食=アートの国、フランスとあってはなおさらでしょ。

が、何にも下調べしてないし、お姉さんたちが行ったレストランはそもそも行きたくなかったけど、Vはどうもそれを探してるらしい。

レストランの名前も知らず、なんにもメモもない、ただお姉さんが泊まったホテルの裏通り、という情報があるだけ。

ヨソの国の大都会で、フランス語もからっきしダメ。
極めて貧困な情報。

みつかるワケないじゃん、とたかをくくっていたのだった。

でもお姉さんたちがとまったホテルはみつかった。
まわりはレストラン街、隣もホテルの1階も、裏も向かいもレストランだらけ。
ホテルの裏に長~い行列があるレストランがある。ほかにレストランに行列なんて見たことない。
きっとこのレストランは、おいしいか、安いか、何かよい兆候だわ。
「ここじゃない?」と適当に言ってみた。

Vは思案する顔で真剣だ。「う~ん、とにかく並んでみよう」列は長いが、どんどん進む。
「ね目黒のとんきみたい!」
とんき、は目黒にあるとんかつやの老舗で、たいてい夜行列ができるのだ。
「ね、ここがJたちの行ったとこ?」
「うん、きっとそうだよ、行列してたって言ってた」
「あら、そうなの?じゃきっとここだよ、ほかに行列のとこなんてないし、でもお姉さんたちが来たのっていつごろなの」
「さあ、5年くらい前じゃない」
「え、5年?じゃあ、だいぶ前だね。5年たっても行列って、ありえる?別のとこかな?」

列をしきるおじさんは、名前は知らないがよく脇役でいろんな映画に出てくるアメリカ人の俳優に似てた。ちゃんとスーツに、色つきのシャツにネクタイ姿で、列の中のグループごとの人数を「はいっ、2人。こっちは4人ね!アンタは1人?じゃこっち来て!」などと大声で誘導している。

そのうちについに私たちが先頭から2番目になる。
おじさんは入り口でレストランの中の空いてるテーブルと、行列とを交互に見て、私たちにジェスチャーで来い、と言っている。でも前にもう1組いるので戸惑ってると、近づいてきて「早く早く、ほれ、こっちだよ」と背中を押されるように中に入る。
(つづく)
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by nanaoyoshino | 2009-08-31 23:56 | 世界の庭とごはん

ダイアナの庭

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都合で乗り換え時ロンドンに泊まった。
ホテルが、たまたまハイドパークのそばだった。
公園を横切って、反対側のナイツブリッジというところに、行きたかった。
公園の中にあるサーペンタイン池の脇を抜けるだけだったのに、なんども道に迷った。

道っていってもまわりにそれほど木だとか建物だとかあるわけじゃない。
だいたいは芝生くらいしかない。でも、あんまり広いし、
小道が不規則でどの方向に向かってどこを歩いてるのか、すぐにわからなくなる。

アイスクリーム屋の明るいオトコの子に道をたしかめて、ぜんぜん反対の方向に向かってたことがわかる。

やっとめざしてた場所にたどりついたときには、もうへとへとになる。

余談だけど、道に迷うことを英語でbe foxed というそうだ。
Foxは狐だから、直訳すると「狐につままれる」。
イギリスでも狐はずるがしこくて、人を迷わせるものと考えられてるのだ。

公園の一角に、ケンジントンパレスがあり、一部公開されている。ダイアナ妃を記念した庭だか遊園地だかというのがあったけど、中には行かなかった。

ダイアナは諜報機関に暗殺された、という説があったのを思い出す。
事故車に同乗していたはずのボディガードの行方が、事故後わからくなってるらしい、
などからは、やはりあやしいのかな、ってVと話したことがある。

もしそうならダイアナ記念の庭だの遊園地だの、っていうのは空々しいように響く。

真実は闇の中。
だけど、ダイアナ自身が生前「殺されるかもしれない」と言ってたことまで否定するメディアはない。

そもそも「007」のジェームス・ボンドが所属するという設定の、英国の諜報機関は、実在する。

ロンドン行き帰りの飛行機の中でも、クライブ・オーエンという英国の俳優が、ふたつの映画で「スパイ」を演じていてびっくり。そっくりな感じで、違いは相手役の女優が、ひとつはジュリア・ロバーツ、もうひとつはナオミ・ワッツってだけみたい?

諜報機関ってそもそも、超法規的な殺人を許容する、合法的組織じゃなかったっけ?スパイとかを駆使し、他国の政治や戦争に、表裏含めかかわってきたイギリス。そういう諜報機関を使っての国際政治にろうたけてるのも、紛れもなくイギリスの一面。

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by nanaoyoshino | 2009-08-26 03:58 | 世界の庭とごはん

パリとケルト民族のこと

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久しぶりのパリは、以前来たときとまったく違って見えた。
以前のパリは寒くて暗い季節で、
小さくて質素な友人の家、
街の片隅の静かなバーや、怪しげなシシケバブの食堂、シネマ、
中東系フランス人の私の友人以外、肌の白いフランス人たちとばかり話した。

今回は夏のバカンスシーズン。
イギリスからVと出かけたのでほとんどVとだけ話す。
パリのことを知るのは、もっぱらVが買ってきた、
分厚い英語の観光ガイドによってだけ、
いってみりゃ生きたパリというより、パリに潜在する歴史だ。

たとえば、ルーブル。
たとえば凱旋門、シャンゼリゼ通り
コンコルド広場。
めったにないほどに巨大な建造物に、
これ以上は無理というほど華やかな装飾が、めいっぱいほどこされてる。
目にするのは、南欧ヨーロッパ人やラテンアメリカ人、
中国人などの大勢の観光客。
それとホテルや店で働く、漆黒の肌のアフリカ系の人びと。

「凱旋門」ってなんとなく使ってた言葉も、
ふん、英語で読めばArch of triumph
そうそう、凱旋って、勝利の凱旋とかって使いますよね。
ナポレオンが戦争で勝ったとき作ったのね。

なにやらおしゃれな感じの店が多いわりに、静かなマレ地区は、ガイドブックによればナポレオン3世の影響を免れ、昔ながらの街並みが残っている場所、とある。その後19Cの初頭にも、ナポレオン3世によって街が改造されたとかされないとか。

マレ地区の細い通りを歩いてたら、古い瀟洒な小城のような建物に出会う。
前でジャズとボサノバのストリートミュージシャンの優雅な演奏に、パリの比較的高収入な若い層、って感じの通りすがりの人たちがかなり熱心に聞き入る。
「あらきれい!何かな?」ってはしゃいだその建物もガイドブックを読めば、
フランス革命時代にはマリー・アントワネットの友人(貴族令嬢)が処刑された場所、とある。

イギリスの貴族の館っていえば、ナショナルトラストに管理されている。
ナショナルトラストは、多額の税金をしぼりとられて貧乏にあえぐ貴族の館を買い取って、観光客に公開し、観光客からは、高額の入場料をとって保存する。

パリに行く前にも、イギリス中あるナショナルトラストの貴族の館のひとつに行く機会があった。その末裔が(家に住み続けるため、現所有者のナショナルトラストに)家賃を払って館の最上階に住んでるらしく、よぼよぼのおばあさんが、観光用エリアと区別するロープ内のエレベーターに入ってくのを見た。教えてくれたのは、ナショナルトラストの職員で、おばあさんとは世間話の間柄らしい。

イギリスといえば貴族院とか、たしかそんなのがまだあったし、いい、悪い、じゃなく、イギリスは保守的だ。
フランス革命って、やっぱりヨーロッパ全体から見れば、すごくエキセントリックな感じがする。

イギリスには、「ウォータールー」(フランス語でワーテルロー)という名の通りとか多いんだ、とVは言う。ナポレオンの侵攻をくいとめたウォータールーの戦いを、イギリス人は誇りにしてるんだろう。トラファルガー広場っていう(ロンドンの新宿、みたいな)場所にある銅像は、ナポレオンとの戦いにまるわる軍人らしい。

ノートルダムに行ったら、Vが聖書のまつわるストーリーを表した彫刻にすっかり見入って、私はヒマだったた。そのあいだまたガイドブックに没頭し、パリっていう地名は、ケルトの「パリなんとか部族」っていう部族名から来てるのだそう。



Vの家族はアイルランド系が多い。
Vの実家に戻ってVのお父さんにケルト人がパリに最初に住み始めたらしい、お宅の家系は3/4くらいの血はケルトだと私は推測するのだ、などとのたまわったところ、冷たく返された。
「ケルト?アングロサクソン?どうでもいいよ」

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by nanaoyoshino | 2009-08-24 23:58 | hundreds of days off

彼とどういう関係ですか

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イギリスの夏は、その年にもよるけれど、今年は今のところすばらしい日が続いてる。湿度の低い冷たい風が肌に触れて、めまぐるしく変わるとはいえまあだいたい明るく暖かい陽気。

緯度が高いから日は長くて、わずかな間だけ暗くなるばかり。

野原にも、庭にも、店の軒下にも、花が咲き乱れる。野には可憐な青い花が控えめに顔をだし、庭には南国の極彩色の花が誇らしげに咲き、店の軒下には色とりどりの鉢がつり下げられる。

空は曇ってるのに日が照って、目に映るものは暗い空を背景に輝く。こういう光景は、日本の夏とは違うニュアンスで、生のくるおしさとはかなさを同時に思わせる。

私は先日紹介した平和広告のプロジェクトにコピーライターとして参加したいと思った。でもコピーライターって、フリーランスになったとたん「なんでもない人」と同義語なんだと気づいた。以前から漠然とわかっていたけど、想像した以上にそうだと実感した。有名な賞とかとった実績でもない限り。

たとえば、名の知れた広告会社のあるアートディレクターに会ったとたん「(ほかにいた人と見比べられて)あなたは彼とどういう関係(でここにいるの)ですか」と唐突に聞かれた。

ほかのアートディレクターには、出したすべてのコピー案について、(アートディレクターはコピーのプロではないのに)否定的で、素人の書いたコピーのほうがいいかのようなコメントをメールされる。(私のコピーがホントにレベル低いのかもしれませんが)

それにしてもフィランソロピー(人道系)の広告っていろんな会社がすでに作っててるんだって、このプロジェクトに関わって認識した。

とはいえこちらだって信頼しにくい人に会うこともあるのは、会社につとめてても同じだ。そういう人に信頼されるように努力してみるのも無駄ではない。やりたいことのためならその努力もいつかは生かされるだろう。後ろ盾がないのだから、実績と人間関係を築いていくしかない。そうするうち自分を認めてくれる人との出会いも生まれるかもしれない。

このプロジェクトは英語のコピーが基本だ。英語の広告なんてこれまで真剣にチェックしたことなかった。今回初めてじっくり研究して、「絶対無理」と思ってたけど絶対とまではいえないと思った。こんなこともきっかけとして生かせるかもしれない。最後までまあ、気楽に努力し、やりとげたいと思う。
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by nanaoyoshino | 2009-08-05 19:12 | hundreds of days off

リノベのbefore after

人に貸そうかと思ってる家のリノベがだいたい終わった。仕上げの壁紙はりとか、ペンキぬりとか、自分でこれまでたまにやったことがあったので、今回コストダウンのためもあって、自分でDIYでやることにした。これが想像以上に大変だった。たとえばこのドア。
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塗る前はこうだった。
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なんと、平均5回くらい塗り重ねないとムラがどうしてもめだった。これがドア4つで裏表、重ね塗りの間各数時間空け合計約40面塗ったことになる。

しかも、Vがいつものように夏の間帰省するのに同行しイギリス行きの飛行機のチケットを7月末の日付で買ってしまっていた。だからそれまでに終わらせなくてはならず、時間もなく、もうぜんぶ終わったときにはへとへとになってしまった。

これは夫のVが壁紙はりを手伝ってくれた写真。
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彼がとても協力的だったのと、壁紙はりの腕前には正直すこし驚いた。

彼は、これまで出会った誰よりもあったかい人柄で計算とかイジワルとかもぜんぜんない人だ。でも半面、人に親切にしようとかいう積極的意識のようなのがあんまりない。無垢な子供さながらというか、その手の義務感みたいなものがない。

しかもDIY好きで知られるイギリス人なのになぜかDIYを嫌悪していた。だからあんまり期待せず、また自分のビジネスなので、家族であってもあまり強要したくなかった。でもVは結局すごく協力してくれた上に、いつものように恩着せがましさがない。見返りを期待するとかもない。私自身が結構計算高いときもあるので、ただただこういう人が存在するのに感謝するしかない。

これが壁紙はり終了後。
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これからすこしづつ、写真と進行状況をアップしていきます。乞うご期待。
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by nanaoyoshino | 2009-08-02 04:51 | hundreds of days off