人気ブログランキング |

2009年 11月 30日 ( 1 )

Mの国、Mの気持ち<Advertising Peace Project-3>

最近いったん終わった平和広告を作るボランティアのプロジェクトは、
まず課題を紛争国から来た者(私のポスターはM)が決めるところから始まる。

M(仮名)は、穏やかな人だ。くもりのないまなざしは純粋そう。

Mと、やはりボランティアで担当してくれたアートディレクターと3人一緒に会ったのは、ある夏の日、一度だけ。Mの住む郊外の駅前のコーヒーショップで、私はアイスコーヒーを注文した。

私のコピー3案くらいと、アートディレクターのビジュアル案3案くらいについて、
「あなたの国の人だったら、このポスターどう思いますか?」というのが、Mへの私たちの問いだった。
「女人禁制の場所」など、関連記事を過去に書いています

その後私はVの実家のある英国に何週間かいて、帰国してから私も10案くらい新たな企画を立て、アートディレクターも新たに10案近くを、美しいデザインにまとめた。

結局使ったのは、戦争がテーマにも関わらず彼の国の伝統料理を扱った、1案だけだった。

私の企画案・コピー案についての、Mからのメールには「not good」という言葉がよく現れた。メールはけっこう、ズバっと、直球。

いったん「perfect」とか書いておきながら、そう書いてあったからこそ、その案ですすめてたら、ギリギリの段階で「not good」とかいうメールが返ってきて、あわてて会いにいったりしたことがある。

なんとか折り合いをつけてポスターは完成した。
展示室でポスターの横に貼る説明としてMにコメントを書いてもらった。

「not good」というメールをもらい続けたので、彼はこのポスターを気にいってないのではと不安だった。

展示前にメールで送られてきた、Mが書いたその説明を読んで驚いた。

彼の言った言葉を、私がそのままポスターに書いたかと思えるほど、このコピーを書いた私の気持ちは、そこに書かれた彼の気持ちだった。またそこに補足として書かれた、自国の紛争についての文には、彼の穏やかなまなざしからは想像もつかない、戦争状態の自国への苦悩がつまっていた。
<つづく>
by nanaoyoshino | 2009-11-30 00:41 | hundreds of days off