イギリスの元炭鉱の町の、ありふれた日々。

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前回の記事からお察しのように、今イギリスにおります。Vのお父さんが日に日に歳をとってきて、動くのもままならない。ふだんは、車で20分くらいのところに住むVのお姉さん夫婦が1週間に3回ほど来て面倒を見てる。

Vは今春休み期間で、ほとんど家にいてお父さんの毎日のことを手伝ってる。お風呂で体を流してあげたり、食事を作ったり、買い物に行ったり。

まるでそんなとくべつじゃないようにでも暖かく自然にお父さんを介護してるVを見てると、誇りに思う。

Vのお父さんは、1、2年前までは自信家で、何でも自分の思うままにしたがる人だった。たしか6人兄弟の長男で、貧乏な苦しい時代に生まれたと聞いた。父親は探鉱関連の労働者で、ほとんど休まず働き通しだったらしい。母親も病気がちか何かで、長男だった彼は下の弟達の面倒を見ていた、じっしつ母親がわりだったと、別の親戚から聞いたことがある。

そんなVのお父さんにとって、今のようにみんなにあれこれしてもらわないと何もできない状況はせつないはず。去年ぐらいまでは、それでもイギリス的なセンスオブユーモアたっぷりに冗談を言って、私たちを笑わせたものだった。最近は笑顔を見せることも少なくなった。

今回も来る前に電話すると、「元気ですか」という普通のあいさつにさえ、「痛くて痛くて!元気なことなんかもうないだろうね」という突き放した答えがかえってきた。だから会う前は心配してた。自暴自棄になってるんじゃ、って。でも会ったら沈みがちではあっても以前よりは怒鳴ったりもせず、おとなしくVに介護してもらってる。

Vはふだんからよく文句や暗いことを言うけど、私にじゃなく、自分への怒りを自分にぶつけてる感じ。Vのお父さんにしてもVにしても彼のお姉さんにしても、他人を本気で恨むようなことをいっさい言わない。何か運命に文句を言わず、従ってるような感じは、聞けば聞くほど苦労の連続だった、イギリスの労働者の歴史からきてるのかなあ。
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by nanaoyoshino | 2009-03-17 04:22 | hundreds of days off
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