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パーマネント・トラベラー。持つ自由と、持たない自由。

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何年も前アフリカで旅行中に出会った20代のオーストラリア人の夫婦は、奥さんが建築家、だんなさんが大工で、二人で家を建てて人に貸し、自分たちはときどき戻ってメンテナンスしながらも、1年以上も世界中を旅してた。私は旅行が好きで、まだ何一つ不動産を所有してないけれど、いろんな人の話を聞いて会社に縛られず旅行を自由にする手段として、大家さん願望を持ってる。

発展途上国への旅が好きだ。発展途上国への旅は、日本語はもちろん英語も通じないし、その大変さは修行のようでもあり悪夢のようでもある。なのになぜ好きなのかというと、たぶん好奇心を満たしてくれるから。余談だけどある意味、好奇心は悪魔のようにも思える。

発展途上国への旅は、行く先々で出会う、親切で自分を助けてくれる人たちに支えられてる。オープンに心をすぐ開いてくれ友達になれるのはたいてい、ごく普通の庶民だ。中でも長距離電車の中で大学生とか、ちょっとインテリで好奇心旺盛な人が隣だと、英語が喋れてコミュニケーションがしやすいから、本や音楽や映画の話とか、まるで長年の友人みたいに話がはずむ。

一番話がはずまないのが、飛行機で隣になるようないかにもお金持ちっていう人たち。こういう人だど、忙しいこともあるだろうけどまず警戒心が強く、なかなか心を割って話すこともない。たいていが私のような初対面の外国人にさえ、(貧乏旅行者だからかもしれないが)狙われるのではないかと、多少用心してるようにも見える。

以前「夏のお茶室」の話でも「ハワーズ・エンド」のことを書いたその同じ作家、E・M・フォスターの短編で「岩」というのがある。海でおぼれそうになったところを助けられた人の話で、この人は海で助けられて以来、ある信念を抱くようになり、自分の資産を全部、自分より貧しい人へ差し出し処分するのだ。助けてくれた地元の人に金品のお礼するどころか施しを求める。そのことで地元民から大変な非難を浴びる。

よく駅で立って「喜捨」を待ってるお坊さんなんかがいる。私はこの本を読む前からだったか読んでからだったか、物を持たずに生きることは崇高な生き方のように、ばくぜんとそんなふうに感じてる。物を持たず、人から恵んでもらい、お返しをしない。とてもつらい生き方だけど、持たないこと、ただ他人の好意にだけ頼って生きること、人に貸しをつくらないことは、究極のシンプルライフであり、自由のあり方のひとつじゃないかと思う。

パーマネント・トラベラー(P・Tとも言うらしい。意味は「永遠の旅人」)という本を今読んでる。ものすごいお金持ちが税金を最小限にするためタックスヘブンに賃貸で住み、どの国にも居住者として認められないよう、一定の期間、一定の頻度で外国へ滞在する生き方についての本。いわば、持ちすぎたがために国家を捨てた人たち。物は持っても国家というものからは自由な生き方、とも言える。自由というのはいろいろだ。物もお金も国家も持たないのが、究極の旅人であり自由であり、もっとも困難な生き方なのかもしれない。

でも大家さん計画を考え始めて以来、お金の勉強をするようになって、これまでまったく知らなかった、働くようになって以来何十年も払ってた税金のことを少し知ることになった。これまでの生活を、これまでと違う視点で見ている。それはある意味旅行に行くのと似てる。旅から帰ってくると、これまでと同じ自分の生活がぜんぜん違って見えたこと、誰にでもあるんじゃないかな。

<写真について>
この線路はどこへ続くんだろう。手すりのこちら側にいる自分は、線路の向こうの世界へいつ旅立てるのか。
<撮った場所>イギリス
by nanaoyoshino | 2008-09-25 00:07 | hundreds of days off
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