野生のトラを探して橋を探していろんな人に聞いたりグーグルマップで探すあいだ、VもVの家族もいったいなんでそんな橋が問題なのかと思っていたと思う。 私はとくに旅のあいだ、他人が見たら何がおもしろいのかわからないようなものでも、求めて探すのが好き。探しているうちにいろんな人やものに出会ったり、一歩一歩探しているものに近づいて行く感じも、おおげさに言えばそれが人生そのもののように思えたりする。 橋のことを書いていたら、マレーシアで野生の象や虎がいるという森に泊まったことを思い出した。 何年か前マレーシアに一人で行ったことがある。以前友達になったネパール人が森林省に勤めていて、管理している森の野生のトラやゾウの話をしていた。森に泊まりゾウの背中で移動し野生のトラを保護するとか、そんな話。 やはり野生のゾウやトラがいると聞く、マレーシアの森に行ってみたくなった。 先住民が住むと言われる原生林の中を数キロ歩いているあいだ、人間には1人も会わなかったけれど、動物にもただ草むらをかけぬけて走る何かイノシシのような影を見ただけ。 事前に地図を買って、ジャングルの中にある小屋に向かって歩きながら、このままもし小屋にたどりつけないまま道に迷ったら、と歩きながらずっと不安で怖くもあった。 行ってみるまでじっさい山小屋がどんなふうだかぜんぜんわからなかったのだけれど、3階建てくらいの高床に一部屋しかない小屋。 木の梯子で上り、壁は一部しかなくあとは屋根だけ。水やトイレも小屋からいったん降りた外にしかなかった。 無事山小屋に着いたときは、それだけでも自分でも驚きだった上に、自分と同じ目的でそんな森の中に、2人ほかの旅行者が私が到着後すぐ来たのにも驚いた。 もともと曇っていた空はすぐ暗くなり、夜もふけるとどしゃぶりの雨になり月明かりもなく、視界はほとんど絶望的。薄暗く夜が明けてきても雨足は変わらなかった。 旅行者は、台湾から来た人で、ぼそぼそとたまに片言の英語で話すくらい。そのうち1人と私は外が明るくなるまで、じっと野生動物の面影を探し、眠い目をこすって起きていた。 2人で何時間も外を眺めていても、「何か見えた?」「ぜんぜん」とたまに言葉を交わし、ただ豪雨がバラック屋根をたたきうける音を聞いていただけ。 夜がすっかり明けると同時に雨も小降りになってきて、3人で朝、小屋を出発するころには止んでいた。濡れてところどころ、道が小川になっている森の中を、1人ではなく彼らと歩けたので迷いにくかったし、楽しかった。 結局何野生動物には出会わなかったけど、たとえ探していたものが見つからなかくても、あのとき、彼らと私で期待に胸ふくらませたその時間は、確かに存在したのだ。
by nanaoyoshino
| 2010-09-10 20:03
| hundreds of days off
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