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チェコに向かって

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ところで、とうとつですが今ベルリンで書いています。なぜベルリンにいるかというと、つまりはVの恒例の帰省につきあって英国へ行く途中の乗り継ぎ地点で数日観光したくなってしまい、ベルリンにまで来てしまった!というわけ。

ベルリンからチェコっていうのが数時間なんで、チェコまで行ってそれから英国へ、という予定になって、チェコの作家ということでカフカの薄い小説二冊をかばんに入れてきました。

時差ぼけもあって、毎晩「ベッドで開いたとたん眠ってるよ!」とはVの弁。それでまだまだ読み終わってないのに書くのもなんですが、またそういう読み方だからというのじゃないと思うのですが、カフカの小説って夢みたいでもあり旅のことみたいでもある。

ちょうどさっき読んだ短編「火夫」は、物語そのものが船でドイツからアメリカへ旅した若者の話でした。

アメリカに着いたとたん、忘れ物にきづいてキャビンに戻ると、荷物を預けた人がいなくなっていて荷物はなくすは、客がいなくなった大きな客船の中で迷って忘れ物もみつからず、船で働いていた火夫のキャビンにひきとめられて、船長らの会議の証人としてひっぱられるなど、わけのわからないこと、不条理なことがえんえんと続く。

たとえば私とVは昨日ベルリンに来るまで、電車に乗っていると思っていたらきづいたら船に乗っていた。これは夢みたいだけど、ほんとだったんです。はっときづいたら「さあ、降りるんだ!荷物はそのままおいていけ!」と言っている人がいて、しかたなく電車を降りたら、電車は鉄の上に他のたくさんの車といっしょくたになっており、鉄の壁との間の50cmくらいの隙間を荷物もなく手ぶら同然に突然歩かされ、しかもどこまでもその通路がえんえんと続く。

狭い階段にやっとたどりついて上ったとたん目の前に海が広がって、電車ことフェリーにのっかって移動というしくみだったのだと、ほっとしたかと思ったらもうあっちの陸(ドイツ)が見えて、そのとたんまわりの人がまた狭い階段に向かって走り出すので「もたもたしてたら荷物を置いたまま電車においてかれる!」と思うけど、階段を降りたとたん車、車の列で、列車なんて見えない。

車の間を悪夢のように走って探してようやく電車にのっても、間違った電車に乗ってしまったかもという不安をもぬぐいきれないまま、自分が乗ってた車両も覚えてないので乗ってから右のほうにいくべきか左にいくべきかわからないままようやく自分の荷物がある車両をみつけたはいいけれど、今度はいつのまにか席をほかの人に占領されて座る席がない。

その後Vが、北欧からベルリンまでの電車で、ユーロパスというものを見たことなかった車掌に聞かれて「これはチケットではないんですよ」と口走ったら車掌にいきなり「じゃあ100ユーロ今すぐここで払え!」と迫られVはお金を出すところだった。

極端な例、私がボランティアをしている人権団体の扱っていたイギリス人の例でも、友達の結婚式でイスラム教の国へ旅行した帰りテロリストとしてアメリカ軍に逮捕され、アメリカ人は英語を話すので説明すれば誤解は解けると思ったのに、何年間もテロリストとして扱われ拷問を受けた、というじっさいの話もある。

旅っていうのはいかに自分が知らなかった世界から成っていて、自分がその世界と接触が難しく、理解できないかを悟るプロセスでもある。

旅をしていない日常でも、自分とまわりの世界(他者を含む)は自分が理解していると思い込んでいただけで、じつはひとは孤立し隔絶しているのだ、とカフカは伝えてるように思える。
by nanaoyoshino | 2010-07-31 08:37 | hundreds of days off
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