オプスデイのクララ<6>

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スペイン人には私は控えめな日本人、とうつったようだったのに、控えめさにかけては日本人と少し違うふうにだけど、引けをとらないイギリス人には、私はずうずうしいヤツ、と思われるよう。

当時クララのほかにもう1人、美術館に勤めながらオプスデイを手伝うイギリス人の女性キャスがいた。

「あなたはナマイキ(cheeky)ね」
ある夜キャスに言われた。私はやや頬骨が張った顔かたちなのだけど、ナマイキ、と言うとき、頬骨(cheek)の上に細い指をそっと滑らせた。

でも彼女も、イギリス人にしては率直だったかもしれない。

イギリスとの接点が少ない中、スペイン人にはやはりイギリスの生活習慣のことは聞けない。
キャスは意地悪っぽいが、たぶんそうではなく皮肉っぽいだけだった。でも「ナマイキ」と頬をなでながら言われて以来、キャスにはものを聞きずらかった。
だから、英語の勉強も含めわからないことは、クララに聞いた。

クララとは、一定の期間ふれあいを持った、最初のイギリス女性だったことになる。
でも当時の私の英語能力では、あまり深い話や細かい話はありえなかった。

先日ロンドンでたずねた友達は、そのクララだ。
クララとは最近になってやっと、いろいろ話ができる。今ではオプスデイのことが前よりわかってなぞがとけたようだ。

オプスデイの寮には、なにか魔術的なほどの美しさの印象があった。
室内を、すみずみまでケアした芸術的なまでのデコレーション、テーブル、食卓の、きゅうくつの一歩手前の、完璧な習慣。

でも今では、そのような習慣を日常生活の美として伝えて行くのは、この団体の意識的な伝統というか方針なのだとわかった。それに家より何より、スペイン人やクララのような人がいたからこそ、そういう習慣も楽しめたのだと思う。
<つづく>
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by nanaoyoshino | 2009-10-12 20:33 | hundreds of days off
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