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オプスデイのクララ<4>

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オプスデイの寮を始めて訪れた日、ドアのベルを押してしばらく待つと、太り気味の女中風情の人がドアを開けてくれる。玄関だけでも、天井がものすごく高くて、居間と勘違いしそうに広く、アンティークのすばらしい家具が美しく配置されている。

案内してくれる部屋は、すぐには覚えきれないほどあって、食堂、キッチン、洗濯室、図書室などのほかに、大きな居間が4つある。

広々とした階段が4階建ての家の中央を貫いて、踊り場には、いちいち猫足のベンチが置いてあって、本を読んだりおしゃべりしたりできそうだ。

どの部屋もそれぞれ異なるテーマカラーやインテリアのテイストがあって、私の部屋になる屋根裏部屋はサーモンピンクの小花柄、案内してくれる女性が見せてくれた自分の部屋は、もっと落ち着いたモスグリーンのトーンで統一されている。どの部屋も、手抜きなく家具が選ばれ、それぞれ違うカーテンがかかっていて、掃除がゆとどいていた。

寮には、女子学生5人と、オプスデイで働くイギリス人2人、スペイン人2人10人ちょっとが住んでいる。

女子学生のほとんどは、スペイン人で、たった2人のイギリス人のうちの1人がクララだった。

辺鄙な場所のホストファミリーのところと違って学校に徒歩で行け、地下鉄駅に近く街にもアクセスしやすかった。

ドアを開けてくれた女性はマリアと言って女中頭のような立場らしい。食事ももちろん彼女が作った。

食事は必ず定刻に始まり、朝食や、毎晩フルコースのディナーや、サパーと呼ばれる紅茶とお菓子の軽食、週末のランチ、と食事のたびに、洗い立ての糊のついたテーブルナプキン、フォークやナイフ、スープ皿が、まるでレストランのようにテーブルに並べられた。

寮に住む全員が、ひとつの大きなテーブルを囲む。必ずスープから始まって、デザートで終わる食事は、大きなスープ入れやお皿から、それぞれが自分のボウルや皿にとって、隣の人にまわす。

テーブルセッティングや片付けは、マリアを中心に、クララともう1人のイギリス人女性がやる。寮生のうち手伝いたい人がきままに手伝う。

そのすべてが、イギリスというよりはスペイン的な印象を持ったけど、いまでは当時よりイギリスについて知ってるから、その印象はそれほど間違ってなかったように思える。


ホストファミリーのところの半額くらいの賃料で、交通至便な一等地という環境、豪華な家と食事、しかも掃除洗濯アイロンつき。話しが旨すぎるようなので、逆に不安になった。どこか怪しいんじゃないか、と思った。
ハウジングオフィスの女性と、学校の廊下でたまにすれ違った。
「どう?うまくやってる?」
声をかけてくれるので、これまで他に誰か紹介したか聞いてみる。

彼女はオプスデイに、ヨーロッパ人の学生なら何人か、紹介したことがあると言う。
<つづく>
by nanaoyoshino | 2009-10-11 00:56 | hundreds of days off
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