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Lおじさんの庭とごはん<6> 小さなサイドテーブル

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以前Lおじさんが住んでた家は、町の中心から5,6分しか離れてないところ、昔炭鉱だったところのまん前にあった。

昔炭鉱だった場所は今は巨大な異なる2種類のチェーン店のスーパーマーケットが建っていて、店の前にこれまた巨大な駐車場がある。

Lおじさんが今住んでる老人ホームの部屋は、日本のワンルームマンションに似てる。
8帖程度の部屋にキッチンもバスも、何もかもコンパクトだけどついてる。
Lおじさんのワンルームは、必要最小限の家具しか置いてない。

ベッドがひとつ、
一人用ソファがひとつ、
木のイスが2つ、
小さなサイドテーブルが2つ。


サイドテーブルに、朱赤の変わったクロスがかけてある。
ふちにブレードのちょっとクラシカルな飾りがついた、起毛状のぶ厚いクロス。

ほかにこれといった個性のない、ワンルームの部屋のアクセントとしては悪くないクロス。
「これはどこで買ったの?」と聞く私に、わりあい最近、スーパーで買ったと言う。



イギリスに限らずヨーロッパの町の中心には、お役所だけじゃなくて大きくて美しい教会があることが多い。

Lおじさんの老人ホームは、町の中心といえる場所に、ある。収容人数は20人程度と少なくホーム共通のダイニングルームみたいなところが一階にあって、ゲームとかおしゃべりとか、暇な時はそこで時間をつぶすこともあるらしい。

隣は古い教会で、教会とはほとんど庭部分を共有しているといって良いくらい近接してる。
教会のある通りは町のショッピング街だ。

老人ホームは、古い公共の建物を取り壊して作ったのだという。
「よくあんな文化財的建物を壊す許可が出たもんだな、普通は条例で保護されるはずだが」
老人ホームの隣の教会の隣は、まだ壊してない、今町で一番美しい建物のままだ。

Lおじさんは、Vと私のパリ旅行話を聞いて「アイフルタワー(エッフェル塔)」を「オーフル(ぞっとする)タワー」と言い換える。Lおじさんのジョークは、世の中で権威があるものや有名なものを、どうでもいいものに思わせる。

ジョークを言うときは、表情豊かなVやVのお父さんと違って、ほとんど表情を変えない。
もちろん相当ヘンな冗談を言ってるときも、顔色ひとつ変えない。
で私たちが笑うと、ようやく少し、にんまりする。

<つづく>
by nanaoyoshino | 2009-10-01 23:23 | 世界の庭とごはん
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