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腸の中のパーティー

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べつにマニアじゃないのでオペラを牛丼にたとえちゃうと、海外のある都ではオペラは「安い・早い・旨い」っていうか、迷わず払える価格で、当日でもチケットが買えて、質もよい、っていうことがある。

オペラなんて興味ないっていう人が多いと思う。ヨーロッパでもおんなじで、目の前のオペラ劇場のチケットどこで買うんでしょうって聞いてもだあれも知らない。でもオペラのなかの言葉は日本人にとっての歌舞伎みたいに、(誰が見たって)わかりやすいもんじゃないだろうし、ただ音楽は洗練されてるし、舞台はけっこうくるくる変わるし、と音楽好きな人ならとりあえず楽しめるものだと思う。

海外での楽しみはそれだけじゃなく、休憩時間にくつろぐほかの観客のようすとか、劇場のすばらしさ、とか、たくさん!ヨーロッパで見るオペラはカクテルドレスの人もいれば、ちょっとした通勤服程度の人も多い。

ブリュッセルのオペラ劇場での安い席は4階か5階建てくらいの高さの手すりから乗り出すように見るから、高所恐怖症の人にはおすすめできない。昔のヨーロッパ映画で出てくるような、華麗な彫刻や飾りのある天井や壁が間近に見える桟敷席は、狭く仕切られてて恋人といっしょなら暗くって狭くってたぶん楽しいだろうなってとこ。

短い滞在中近くの劇場で見れればなんでも、っていう程度でふらりと出かけたので期待もしてなかったけど場内はほぼ満員。まず若い女の人がものを食べてる家族ビデオみたいな映像から始まる。超普段着の女性は食べてはトイレで排泄、という、過食症の記録かっ?

映画がとうとつに終わると舞台に巨大な人形が現れる。最初は白い石膏の化け物みたいに見えてたのに、人形にカラーの映像があてられると人形は動いたり表情を持ったりして赤ん坊になり、それがいつのまにか過食症の女の顔に変わり、女の顔がどんどん歳をとって老女の顔になる。

向きを変えた巨大な人物はふたたびビデオの女の顔に戻り、乳房がぱっくり割れて男が出てきたり、尻の穴から人が自由自在に行き来したりもする。

最後のシーンには体のなかから胃や腸が現れるんだけど、腸の中でオペラ歌手たちがパーティーをする。ビジュアルがそんなふうにスペクタクルで目が離せないほどおもしろい。ストーリーのほうは最後までよくわからなかったけど、飽食をテーマにした古典を現代に置き換えて社会批判した内容かなって、推測。

美術の教科書とかなんかで、マグリットの絵とか見たことある人も多いと思う。私はマグリットとか、ボッシュとか、ポール・デルボー、ブリューゲルが、ベルギーあたりの画家だなんて知らなかったのに、このオペラ見てたらそういう画家をいつのまにか思い出してた。

ブリューゲルは自然主義の人と思われてるけど偉い人も庶民も動物も子供もおんなじような大きさと表情で描いて1枚のなかで世界がひとまわりするような絵が、女の体から男が出入りするオペラの循環する世界と通じる。ボッシュはシュールリアリズムの運動がおこる400年も前の人なのに、まさにこのオペラみたいな(写真はヒエロニムス・ボッシュ 快楽の園(地獄)の一部)とんでもないシュールな絵をすでに描いてたのだ。

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by nanaoyoshino | 2009-05-25 00:22 | hundreds of days off
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