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まるで海があるように

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アメルスフォールトを出発すると、ゴッホやミレーの農村画みたいな田園風景を自転車で走る。途中で適当にホテルか民宿を見つけて泊まろうと思ってたのに、夏のみ営業ってとこが多いみたい。日も暮れてきて少し不安になってたら交差点に「ユースホステルはこっち」と小さな看板が目に飛び込んだ。こんな何にもないとこにユースホステル?と半信半疑だったけど、ほんとにあった。

フロントの若い男性によると、このあたりの施設は、夏以外ほとんど閉まってるらしい。
「ここを去る前に見るべきとこありますか」
うーんとちょっとの間悩んだあと、彼は「ネイチャー」だって。

あーサイクリング中そこらじゅうにあった林のこと?って私が聞いたら、「まあそうだね」と彼はいい加減に言う。で、その「ネイチャー」までの行き方を書いた地図をコピーしてくれた。

翌朝も快晴で、地図のコピーに彼が○をつけてくれたとこに行ったら、人の気配はなし。車が駐車場に2台とまってて、平坦なオランダだけどわずかな起伏に少し丘みたいになったところを上ってみたら、見渡す限り真っ白な砂の海が広がった。

私が上った林のそばに、松の木がところどころはえてる、まるで地平線の向こうに、ほんものの海があるように。くぼんだところには草が少し生えてるけど、それ以外は砂地。まさかユーラシア大陸のまん中に、ほんとの海があるはずない。手に取るとまさに海辺にあるような、サラサラの細かい砂だ。

犬を散歩してる人がちらほら、砂埃のせいか、しんきろうのように遠くに揺れてる。
それ以外誰もいない。

私は広いところに出ると駆け出したくなるから、砂地を駆けようとするけど、足が軽い砂に入って走りにくい。湿ってくぼんだとこは、草が生えてデコボコしてる。

「ここは昔海だったの」
犬を放し飼いにして、砂地にたたずんでたおじさんに話しかけてみる。今はリタイアしてるけど船乗りだったっていうおじさんは、世界中旅したはずなのに、他のオランダ人はたいてい話せる、英語もほとんどしゃべらない。ぴょんぴょん駆けまわる自分の犬と、砂地を遠くに見晴らしながら「mooi(モーイ)」(ステキだ)ってただ一こと言った。*

そして自分自身の驚きのなか、私はなぜ自分が旅をするかってことに気づいた。

*この場所Soest には駅があり、アメルスフォールトからも、30分以内かと思われます。
by nanaoyoshino | 2009-05-08 23:22 | hundreds of days off
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