2012年 05月 24日 ( 1 )

あの頃ベースボール、今フットボール

初めてイギリスに留学して語学コースというのでイギリス文化について議論させられたとき、あまりにスポーツに無関心すぎる私は、「イギリスで人気のスポーツ」として、フットボールのつもりがいつのまにか、「ベースボール」と呼んでいた。それで議論で組んだ日本人のほかの留学生が、「イギリスってベースボールが人気って、ほんと?フットボールじゃない?」と言われてはじめて、あれ、って思ったほどだった。

もちろんイギリスではサッカーはサッカーと呼ばれず「フットボール」。うちのだんなはフットボール好きで、最近プレミアリーグが終わってしばらくは楽しみがなくなったと嘆いている。

近頃じゃあまりに長い時間だんなのフットボール話を聞かされて、毎シーズンのプレミアリーグの順位を空で言えて、どうやってその順序にたどり着いたか経緯までわかっているようになってしまった。各チームの監督の名前だって半分くらい言える。

自分の出身地のチームを応援しているがうちにはテレビがないので、試合中ライブでネットにどんどん書き込まれるプロのコメントをチェックする、しかもプレミアリーグなり、チャンピオンズリーグなり、フットボールの試合があるときはほぼ必ずチェックする。

っていっても同時に進行している試合を、何人かのコメンテーターが、この試合では今こんなことが起きている、とかコメントしている(のだと思う、私はチェックしてないから詳しくはわからないけど)。だから自分のチームの試合を逐一チェックできるわけじゃなさそう。ただ右のほうに全チームのスコアが示されます。

でもテレビがないから(ていうかフットボールはなんだかすごいビジネスマネーが動くようで、プレミアリーグは有料の衛星テレビでしか、イギリスでも見れない)コメントだけでやむをえず満足している。でそのようすをまた聞いてもいないのに、私にいちいち説明してくれる、しかも試合があるシーズンは毎日だ。あんまりちゃんと聞いてないけど、聞いたふりをして、ちょっとでもあいづちに質問でも加えようならたいへんなことになる。説明がだらだら続いて終わらなくなるので自分がやっていたことをいったん中断するか相手を中断するはめになることも。

でもたまにコメントを見て、100%何が起こってるかわからないのもおもしろいな、って思う。言葉だけでしかもコメンテーターが関心を持ったことだけしか書かれないのが、かえって想像力がふくらんでドキドキして読める、って感じたこともある。

私はずっとスポーツ音痴だったし、父は、母の田舎で地元チームの野球をラジオなんかで聞いてるおじさんたちが大嫌いで、何がおもしろいのかぜんぜん理解できないと言っていた。だから10代の頃近所の喫茶店で隣のパチンコ屋から流れてきた常連の男の人たちが毎日、共通で最大の関心事である地元の野球チームの話をいつまでもしているとき、「こういうくだらない男とは絶対に結婚しない」となんとなく心に誓っていた。人間はもっと高尚なことに関心を持ち時間を使うべきだと思っていたのだ。

中高年と呼ばれる年代の今、街で若い女の子が「こんな彼がいい、こんな人と結婚したい」って夢中でしゃべってるのを聞いても、実際には正反対の人間(私が喫茶店で感じてた頃と)と結婚しても案外関係ないものだなあ、と思う。
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by nanaoyoshino | 2012-05-24 23:03 | hundreds of days off