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33 サビついたスコアボード

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「野球はイギリス発祥?」“Is baseball originated from England?”
「うーん、ラウンダーズ(というスポーツ)が野球に似ていて、イギリス発祥だよ」 “Well, rounders is similar to baseball and it’s English.”
「ラグビーはイギリス発祥?」“Is rugby originated from England?”
「そうだよ、イギリス人はイギリス発祥のスポーツでも負かされて
るんだよな」 “Yes, English invented the sports and they are beaten.”
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「普段着の英語」ピックアップ

近くの公園の陸上競技場で子供がラグビーのリーグ戦をやってた。青い空の下、空気はからっとして小学生の掛け声だけが広々としたグラウンドに響いてた。100人以上は座れそうな立派なスタンド席には、子供の親らしい人がまばらにいただけだった。前にこの場所に来たのは確か1月で、雪が降ってて誰もいなかった。積もった雪でグラウンドが一面真っ白だった。誰も歩いてないやわらかい雪の上にヴィンセントと私だけの足跡をいっぱいつけた。

丘を上って野球場の脇の小道を歩いたら、こっちは高校生がリーグ戦をやってる。高い網の向こうは目が覚めるような芝生が、傾く直前の太陽に輝いてる。芝生の向こうがスタンド席で、ジャケットをかぶった男の人が芝生の上でぐっすり眠ってる。

スタンド席はやっぱり数人が座ってるだけだった。2年位前までヴィンセントは日本のプロ野球が大好きだった。日本の野球選手や監督の名、各チームの順位などにとても詳しかった。私もラグビーのルールよりは野球のほうがわかる。大きな野球場には遠くのほうにスコア表示するボードがあった。視力が弱い私には、スコアが表示されてるのかも見えない。

ヴィンセントの隣に中年の男の人が座って日本語で話しかけてきた。ヴィンセントは日本語は少ししかわからないので、私の顔をしきりに見る。私はいちおう通訳しながら、さっき寝ていた人のあたりの芝生のきれいなところへ行ってみたくなった。ヴィンセントへ散歩に行くよ、と言ったらヴィンセントはえっという顔で私を見た。
「一緒に行く?」
「うん」
「すみません、ちょっと散歩に行ってきます」
陸上競技場よりも傾斜が急なスタンド席の上の芝生地を歩いた。男の人は木の下で眠ったままだった。

待ち時間らしい野球部員が、私たちも歩いてるスリ鉢状の一番高いところの芝生地を、ジョギングしてた。席から遠くに見えたスコアボードの真下まで来た。スコアボードはサビついてて、長いこと使われてないみたい、もしかしたら何十年も。野球をやってる人やスタンド席に座る人がはるか遠くに見える。さっきヴィンセントに話しかけた男の人は、どういう用事で来たんだろう。私たちの住む町の建物も遠くに見えた。

野球場の周りには木が生い茂って、びっくりするくらい静か。踏み荒らされてなくしっとり湿った芝生の上に座った。
「こんなとこ初めて来たね」
「この公園よく来てたのに」
「夏の花火大会はここでやってるのを、私たちベランダから見てたんだよ。人でいっぱいだから、実際にここに来たことはなかったけどね」
年1回の花火大会の日は、この野球場も陸上競技場も、駅までの道路も、大勢の人で埋め尽くされる。

野球場のハシを一周した。
「さっきの野球部員戻ってくるよ」
初めに来た入り口の壁で行き止まりだった。元に戻って反対方向へ一周しないと出られないのかな、と言いながら進んでったら、壁の横に小さな出口が見えた。

<写真について>
左の細い女と右の太った女。実際には、左のほうが太っているのかもしれない。
撮った場所:イングランド

Woman excite ウーマンエキサイト 旅とお散歩 : 旅とお散歩情報 投稿
by nanaoyoshino | 2008-06-14 23:56 | SimpleLife/普段着の英語
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