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16 ネックレスひとつに伝え方100通り

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あ、アップル社からメールが来てるよ。
”I’ve got an e-mail from Apple Macintosh!”
あなただけにメールが来たみたいな言い方だけど、何百万人に送ってるんだってば。
”You sound as though it was sent to only you but they sent it to millions of customers.”
見てこの薄さ!クールだな。やっぱりPCはウィンドウスじゃなく、今度買うならマックだな。
”Look! It’s so thin!  It’s cool! Next time we buy a computer we should buy Macintosh instead of Windows! ”
メルマガでこんなに効果があるなんて、あなたって広告業界にとって理想的な顧客ね。
”It seems this junk mail was so affective to you. You might be an ideal custommer for the advirtising industry!”
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以前ブログを開こうと思ってたけど、更新しないままでもうURLも忘れてしまった。更新しなかったのは、誰に向かって伝えたいのか自分で決められなかったからだと思う。ミクシだと読者を友人と想定できたので、書きたいことが浮かんだ。もともとミクシで続けられそうなら今度こそブログと思ってたのでブログにしてみた。
 
いろんな雑誌の編集部に商品の紹介記事を出してもらうお願いをする仕事をメーカー側の人間として進めてたことがある。雑誌camcanと JJの違いや WithとMOREの違いなどにはそもそもあんまり興味がなかったので、そのとき初めて知ったことが多かった。たとえば同じネックレスを紹介するにも各誌同じ伝え方では、なかなか読者に受けいれられない。Withでは「オフィスでプレゼン時映える」と言いMOREでは「医学部のK君が選んだ」と言ったり、表現を変えるだけで反響はぜんぜん違う。ネックレスひとつに「正しい表現」は何通りも存在する。

「ワンフレーズポリティクス」で有名な以前の日本の首相はテレビの記者会見で、「このようなことが二度と起こらないよう、関係諸子に指示しました」とか「安全を確保するために万全を期す覚悟です」みたいな、あたりまえでしょ?とツッコミたくなる言い方もよくした。それについて、そして記者たちも何も質問しないのを見て、ヴィンセントが怒った。

国が違うと細かい日常生活の常識はケッコウ違うけど、大きな社会常識って違うようであんまり変わらない。でもときどき日本に存在しない常識が他の国にあることで、エッと思うことがある。たとえばイギリスでは上の首相みたいな一般的なことを公式な場、たとえば大学などで言うと、何も発言しないのに等しいととられ「具体的に言いなさい」と注意がとぶ。またどこかで聞いたようなよくあるせりふは「クリシェ」と呼ばれ、発言する人が優秀でないように思われる。

広告の世界では、このイギリスの常識がずばりあてはまる。戦略もなく一般的なことだけ言う広告や、どこかで見たことがある、聞いたことがある表現では、まずモノが売れない。ネックレスでも、クルマでも、コンピューターでも、毎年新製品を出したってそんなに極端に変わるわけじゃないから、新製品を広告でどう伝えるかが勝負。何億円を売り上げる商品の広告だと優秀なカメラマンやクリエイティブディレクターが集められ、大勢の気を引く、新しい表現が生まれる。

あたりまえだけど広告の究極目的は、広告主がもうかること。最高に贅を尽くした有名クリエイターによる大ヒット広告でさえ、たいていは短期間に世の中を席巻し消費される運命にある。結局は資本主義社会の徒花なんじゃ?と思ってしまう。ただマス広告に関わってきた自分としては、おもしろく多くの人に読んでほしいとクセで思ってしまうのをやめられないのだけど。
by nanaoyoshino | 2008-03-24 00:17 | SimpleLife/普段着の英語
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