2 ブルージュ一、古いキャンディーショップ店内は狭くって埃っぽい。(東京の)近所の小学校裏門前にある駄菓子屋みたい。どのお菓子も、だいぶ前からそこに置いてありそうなフンイキなのも、誰もいないのも。ただしうちのそばの店には看板があり、「○○文房具店」と書いてあって、置かれてるのは駄菓子類ばっかり。奥からおばあさんが現れた。正直甘いものは何もほしくなかったのであんまり甘くなさそうな、動物の絵が袋に描いてある「ABC ビスケット」を買った。 「ここですか?」 店名が読めなかったのでちらしを見せた。 おばあさんは笑顔になった。 「ここのことですか?」 もう一度聞くと、大きくうなづいた。 べつに驚くようすもないから、このおばあさんは、この記事を以前読んだことがあるのかな。ゲラ刷り持って編集プロダクションの担当者が店にやってきたのかも。このおばあさんがパソコンやファックス使って確認するとは思えないし。 おばあさんは私に何か言った。そこはベルギーのオランダ語圏。おばあさんはオランダ語以外いっさいしゃべらない。おばあさんは私に「シノア(中国人)?」って聞いたので、「ヤパン(日本人)です」って私もオランダふうでJを発音せずに言ってみた。そしたら、おばあさんはまた大きく首を振り、「どうもありがとう」と「さよなら」って言った。オランダ語は、ドイツ語と良く似てた。 ビスケットはアルファベットをかたどったよくある、子供の教育用みたいなビスケットだった。想像どおりの、日本のぼそぼそしたビスケットみたいに乾燥して味がなくて少しだけ甘かった。 (後日談) Vにこの話をしたら「僕の行ってた小学校の前にもあった!そういうキャンディーショップ!この近所の菓子屋とそっくりの、で、やっぱりおばあさんがいる!」と、一瞬でキャンディーショップに友達とつるんでた、童心に返ったようだった。
by nanaoyoshino
| 2009-04-23 23:43
| hundreds of days off
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